多様化するハラスメントの防止策とは
働き方改革が施行され、多様な働き方を尊重する社会通念が普遍化しています。働き方も多様化する中で、「多様化するハラスメント」としてGRANDIRでも今の社会におけるハラスメントについてご紹介いたしました。そこで今回は多様化しているハラスメントの「防止策」にフォーカスして解説して参ります。
ハラスメントの種類も増加
年々、ハラスメントの種類は右肩上がりに増えています。数年前までは概念すらなかったハラスメントも対応方法を誤ってしまうと労働者から問題提議され、会社としては対応せざるを得なくなります。これはハラスメントに対する社会的な問題意識が高まっていることも影響しています。
ハラスメントが起こる背景
具体的なハラスメント防止策に入る前に、なぜハラスメントが起こるのかを理解しておく必要があります。端的には「倫理観のずれ」です。倫理観とは生活の中での秩序であり善悪を判断する際の根拠となる考え方を指します。特に新卒採用を積極的に行う企業であれば、昭和、平成、令和と3つの時代を過ごしたビジネスパーソンが同じ環境で働いている状況です。それぞれの時代では社会通念や慣行も異なり、「ジェネレーションギャップ」が生まれてしまい、そこが端緒となり、ハラスメントに発展する1つの要因になっていることは想像に難くありません。
具体的なハラスメント防止策
教育の場・時間を設ける
具体的な防止策として、まずは教育が挙げられます。昨今、様々な情報デバイスにより、日々多くの情報を掴むことができますが、中には誤った情報も含まれており、かつ、人間には、自分の感覚に近い情報、都合の良い情報のみを集めるというバイアスがあります。会社として、専門家の知見を参考にしながらも正しい情報を厳選し、社員に対してハラスメント講習、研修などの教育の機会を提供することが重要です。
最近はオンラインでの開催も主流となっていますが、その場合はより研修内容に工夫が必要です。一方的なオンライン研修だと対面研修と異なり臨場感がなく仕事の合間に「ながら聴き」もできてしまい、当事者意識が希薄になりがちです。また、人数が多すぎると(これは対面研修でも同じですが)質問がしにくい状況が生まれてしまいます。そのためオンライン研修の場合は参加者の上限を設定し、一方的にインプットさせるという形ではなく、質問やディスカッションの時間を設けた参加型の研修にするなど、研修内容にも少し工夫を出すと良いでしょう。
また教育機会の設定は、将来的に会社を危険から守る意味も含んでいます。どんなに対策を講じてもハラスメントが起きてしまうこともあります。もし法的な争いにまで発展してしまった場合でも、会社として日頃からハラスメントの教育機会を設けていたという事実は、ハラスメント防止のために対策を講じていたということに他ならずマイナスになることはありません。社員だけではなく会社自身のためにも、ハラスメントの教育機会を設けることは重要な取り組みなのです。
相談窓口の設置
次に相談窓口をどのように設置するかです。
いわゆるパワハラ防止法により、企業規模を問わず法律によって相談窓口の設置が求められていますが、会社の規模が小さくなればなるほど、相談担当者が近しい者になる確率は高まります。場合によっては「元上司」というケースもあるでしょう。そのような「相談しづらい相談窓口」となることを回避する意味で、最近では外部の専門家(例えば社会保険労務士や労働法に特化した弁護士)を窓口とすることが増えています。、ハラスメント問題が肥大化する要因として、相談後の対応が遅いことや、誤った対応(例えば相談の冒頭からハラスメントにはあたらないと決めつけた態度で聴取をする)をするケースがあるため、中立的かつ専門的な外部の専門家を対窓口とすることで、問題が肥大化する前に解決することができる大きなメリットがあります。
相談件数が増えたときこそ意識したいこと
教育機会を設けた当初はハラスメントに対し過敏になる傾向があり、そのためパワハラに関する相談は増加します。そうすると「迅速な対応」で「多くの件数に対応する」ことに意識が向きがちになり、最も大切な「正しい対応」がおろそかになります。“初動を敏速に“はもちろん大切なことですが、起こってしまったハラスメントに対し、きちんと然るべき調査を行い、正しい対応を取ることの重要性を忘れてはなりません。
繰り返しになりますが、ハラスメント講習などの教育機会を設けたあとは、ハラスメントに対し過敏になる傾向があります。そういったタイミングの時には予め相談窓口への件数が増えるものだと予測し心づもりをしておくことが大切です。
まとめ
今回はハラスメントを防止するための対策として社員への教育機会を設けていくこと、相談窓口の設置について解説してきました。
しかしどんなに対策を講じてもハラスメントが発生してしまうこともあります。その場合は敏速に然るべき調査を行い、対応を決めていく必要があります。もし複雑な事案であった場合には、相談があった段階で、一定の調査期間が必要であることを相談者に伝えておくことで「対応が遅い」「対応してくれているのか不安だ」といった、事態を悪化させてしまう要因を予めカバーしておくことも大切です。
また、防止策は一度導入すればよいというものではありません。適宜修正を加えていくことも必要です。会社の相談内容に合った内容、例えば同じ部門からの相談が多いなど、特定の傾向が現れてきた際にはその点にフォーカスした防止策へブラッシュアップしていく、といったことを繰り返し、多様化するハラスメントに対応できるよにしていきましょう。
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