パラレルキャリアという新しい働き方のメリットと注意点を解説
働き方が多様化する近年、「パラレルキャリア」への注目度は増していますが、「パラレルキャリア」をきちんと理解できている、という方はまだまだ少ないのではないでしょうか。
パラレルキャリアは従来の副業とは異なるもので、うまく取り入れれば企業にも従業員にもメリットのある働き方です。
本記事では、パラレルキャリアの特徴やメリット、注意点について解説していきます。
パラレルキャリアとは
パラレルキャリアとは、経営学者ピーター・ドラッカーが「明日を支配するもの」という著書で提唱した働き方です。
本書ではパラレルキャリアを「本業を持ちつつ第2の活動をすること」と定義しています。
パラレルキャリアが注目されるようになった背景には、ワークスタイルの多様化で時間を有効に使うことができるようになってきたこと、また、終身雇用制度は崩壊しつつあり、就職さえすれば老後まで安泰という社会ではなくなってきたことへのリスクヘッジや、企業側も長引く不況により副業を解禁し始めたことが上げられます。また近年のコロナ禍で働き方も大きく変わり、自分の生き方を見つめ直すきっかけとなり、より自分自身を成長させたい、より人生を豊かにしたいと、第2の活動を求める傾向が出てきているようです。
副業との違い
パラレルキャリアと副業は似ていますが、働く目的や本業との関係性が異なります。
具体的には、副業は収入を得ることが目的であるのに対し、パラレルキャリアは自己実現や社会貢献をすることが目的であると考えます。
そのため、パラレルキャリアには収入の発生しないボランティア活動なども含まれるのが特徴です。
また、副業はあくまで本業に次ぐ仕事であり、空いた時間を活用して取り組むものですが、パラレルキャリアでは本業と第2の活動は同等であると考えます。
本業を複数持っている状態とも言えることから、漢字で「複業」とあらわされることもあります。
パラレルキャリアのメリット
パラレルキャリアには、次のようなメリットがあります。
・スキルアップができる
・人脈が広がる
・モチベーションの維持・向上につながる
スキルアップができる
会社員として1つの企業で働いていると、携わる業務の範囲も限られ、やり方もある程度固定されてくるものです。
パラレルキャリアを取り入れることによって、新しい知識を身に付け、視野を広げることができるというメリットがあります。
人脈が広がる
パラレルキャリアを取り入れると、複数の組織に所属したり、個人で活動したりと、人脈が広がることもメリットです。
この新しい人脈から、本業でも新しい仕事を受注できた、という声も聞かれます。
社員の人脈が広がることは、企業にとってもメリットがあることです。
モチベーションの維持・向上につながる
パラレルキャリアは自己実現や社会貢献を目的としているため、やりがいや楽しみを感じやすい活動です。
本業の仕事に行き詰まっているときでも、もう1つの活動で気分転換ができたり、自分とは違う考えに触れることで、考え方や物の見方の幅が広がり、それが自信につながることもあります。このような影響が本業へのモチベーション維持、向上にも繋がっていくのです。
パラレルキャリアの注意点
パラレルキャリアはメリットの多い働き方ですが、企業が取り入れる際には注意すべきこともあります。
・就業規則の改訂・周知をする
・情報漏洩を防ぐ
・自己管理を徹底してもらう
就業規則の改訂・周知をする
前述の通り、厳密に言うとパラレルキャリアと副業は異なりますが、企業の就業規則などを考える上では副業に関する規則を適用することになります。
現状では副業を禁止している企業もあると思いますので、その場合はまず就業規則を改訂しなければなりません。
パラレルキャリアにはどのような条件を設けるのか、届け出は必要なのかなどを決めて、社員に周知しましょう。
情報漏洩を防ぐ
パラレルキャリアを取り入れる際は、情報漏洩にも注意が必要です。
社員が自社のノウハウを他社に漏らしてしまったり、逆に他社の情報を持ち込んで仕事に利用してしまったりすると、大きなトラブルにつながります。
守秘義務契約を交わすなどして、防止措置を講じることが必要です。
自己管理を徹底してもらう
複数の仕事を並行すると、スケジュール管理や収支管理は複雑になります。
パラレルキャリアに取り組む社員には、今まで以上に時間や体調の自己管理を徹底してもらうことが必要です。
また、第2の活動で一定の収入を得る場合には、確定申告が必要になることも周知するようにしましょう。
まとめ
パラレルキャリアは、自己実現や社会貢献を目的として複数の本業を持つという新しい働き方で人生を豊かにしてくれるというメリットがあります。
社員がいきいきと働き続けられ、企業も成長していく。上手く取り入れられれば、企業も社員も共に成長し豊かになれる制度かもしれません。
しかし一足飛びにできるようなものではなく、制度整備や情報漏洩リスクなど事前にしっかりと対策を取る必要があります。パラレルキャリアには興味があるがハードルが高いと感じている場合には、プロボノから取り組んでみたり、サークル活動の仕組み作りからでも良いと思います。同じ社内でも仕事以外で繋がる場があると、新たな気づきが出てくると思います。パラレルキャリアの導入を視野に入れている場合には、まずは段階的に取り入れられそうなところからチャンレンジしてみてはいかがでしょうか。
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