【2022年最新】コロナ禍で変わる職場のメンタルヘルスケア対策

【2022年最新】コロナ禍で変わる職場のメンタルヘルスケア対策

2015年には企業でのストレスチェックが義務化されるなど、国を挙げてメンタルヘルス対策に取り組む動きがありますが、具体的にどのような事例があるのか詳しくは知らない方も多いのではないでしょうか。
長引くコロナ禍でテレワークやモバイルオフィスの利用など、以前と働く環境が大きく変わったことでこれまでとは違う要素からメンタルの不調につながるケースも増えている傾向にあります。そこで今回は、最新の職場でのメンタルヘルスケア情報をご紹介します。

メンタルヘルスとは

メンタルヘルスは直訳すると「心の健康」となります。
厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」には、心の健康問題の特徴について次のように書かれています。

心の健康については、その評価には、本人から心身の状況の情報を取得する必要があり、さらに、心の健康問題の発生過程には個人差が大きいため、そのプロセスの把握が困難です。また、すべての労働者が心の問題を抱える可能性があるにもかかわらず、心の健康問題を抱える労働者に対して、健康問題以外の観点から評価が行われる傾向が強いという問題があります。

出典:労働者の心の健康の保持増進のための指針

要約すると、心の健康問題は誰にでも起きる可能性があるものですが、そこには個人差があり、また、問題が起きているときには健康問題とは違った形で現れやすい、ということです。

具体的には、次のような症状が現れたときにはメンタルヘルスの不調が疑われます。
・イライラして怒りっぽくなる
・ 眠れなくなる
・ 食欲が極端に増えたり減ったりする
・ 飲酒の量が増える

このような症状が続く場合には、心療内科など専門家に相談することも必要になってきます。
心の病気は、体の病気と違って原因や部位が特定しにくいものです。
そのため、特徴的な症状と持続期間、それによる生活上の支障の程度などをもとに診断が下されます。
代表的な心の病気としては、次のようなものがあります。
・うつ病
・不安障害
・適応障害
・自律神経失調症
・統合失調症

職場でのメンタルヘルスケアが必要な理由

メンタルヘルスの概要はお分かりいただけたかと思いますが、なぜ職場でのケアが必要なのでしょうか。
厚生労働省の調査によると、労働者のうち50%以上は仕事に関する強いストレスを感じており、仕事のストレスを原因とする労災申請数は増加傾向となっています。
メンタルヘルスの不調が続くと休職や退職、最悪の場合には自殺などを招くこともあります。またメンタルヘルスケア対策をすることで、従業員の心身が安定すると結果的に業務の生産性が向上・安定することも期待できます。したがって、メンタルヘルスケアは労働者本人だけの問題ではなく、企業にとっても重要な課題であると言えます。

コロナ禍における新たなメンタル不調の要因

コロナ禍においては、従来の仕事のストレスに加えて、次のような新たな悩みも増えてきたことが分かっています。
・自分や家族のコロナ感染
・ 収入に関する不安
・自粛など生活の変化に対する不安
・家族・友人・職場など人間関係の変化に対する不安

参考:新型コロナウイルス感染症流行下におけるメンタルヘルスに関する相談対応参考情報・留意事項/厚生労働省

コロナ禍では生活環境にも大きな変化があったことで、ふさぎ込んでしまう気持ちや焦燥感を抱えやすい傾向があり、心の健康問題は、さまざまな要因が複雑に重なって発生することが多いため、より多面的なケアが必要になってきていると言えます。

メンタルヘルスケア対策

ここからは、企業がメンタルヘルスケア対策を講じる際の、具体的なポイントについて解説します。
メンタルヘルスケア対策は、「目的」と「実施者」の2つの観点で分類できます。

メンタルヘルスケアの目的

メンタルヘルスケアの目的には「予防」「早期発見」「職場復帰」の3種類があります。
例えば先述のストレスチェックは、不調の兆候がある労働者を早く見つけて医師の面談につなげるという「早期発見」を目的とした取り組みになっています。

メンタルヘルスケアの実施者

メンタルヘルスケアの実施者は、次の4つに分類されます。

  1. セルフケア(労働者自身)
  2. ラインケア(管理監督者)
  3. 事業場内産業保健スタッフによるケア(産業医や保健師など)
  4. 事業場外資源によるケア(事業場外の機関、専門家など)

メンタルヘルスケア対策を考えるときには、上記の「目的」と「実施者」を組み合わせて、誰が・どの段階にアプローチするための施策かを意識することが大切です。

参考:事業場におけるメンタルヘルス対策の取組事例集/厚生労働省

まとめ

メンタルヘルスは個人によって捉え方が異なるため、自覚することも周りが気づいて指摘することも難しい問題です。とはいえ、不調のきっかけは些細なことの積み重ねから始まります。最初の小さな不調を見逃さずに、「不調に気づく」「気づいたら休みをとる」などすぐにケアできる体制を整えておくことが大事です。
職場全体がメンタルヘルスに一定の知識を持っておくだけでも「これは不調の兆候かもしれない」と気づけるようになります。
職場全体を巻き込んだメンタルヘルスケアの啓発活動を行うことで、誰もがいきいきと働ける環境づくりを進めましょう。