テレワーク導入の助成金、申請と進め方を解説!

テレワーク導入の助成金、申請と進め方を解説!

中小企業やベンチャー企業では、せっかくテレワーク導入を検討したにも関わらず、思った以上に導入費用がかかり保留にしている場合はありませんか?テレワークの実現には堅牢なネットワークが求められます。また労務管理システムや就業規則などの整備も必要です。そのための設備投資にはどうしても費用がかかります。そこで助成金を利用して投資費用の負担を軽減してみてはいかがでしょう。

テレワークを進めるにあたって利用したい助成金と、その利用の方法について解説します。

IT、情報システム環境整備がテレワーク導入コストのカギ

個人のパソコンやタブレット、スマートフォンを会社の業務で利用することはBYOD(Bring Your Own Device)と呼ばれ、テレワークの浸透とともに拡大するようになりました。経営面では設備投資を削減できるメリットがあります。

しかしウィルスやサイバー攻撃はもちろん、社員が機密情報を持ち出してしまうリスクを考慮して十分な対策が必要です。クラウド上のファイルにアクセスできる管理権限やポリシーを定め、機密ファイルをダウンロードや印刷できないようにします。VPNなど回線を整備し、場合によってはVDI(仮想デスクトップ)の利用を検討しなければなりません。

さらに、個人情報や機密情報の扱いに関する従業員に対する教育が必要になります。社内のシステム部門で対応できなければ、外部の講師を招く必要があるでしょう。

テレワーク実現に向けては、さまざまな準備とコストがかかります。コスト面でテレワーク導入になかなか踏み切れない方は助成金を利用してDX推進に向けた業務改革を実現してみてはいかがでしょうか。

助成金と補助金、テレワーク導入に向いているのは?

ところで「助成金」と似た言葉に「補助金」があります。既にご存知かもしれませんが、この違いについて解説しておきましょう。

助成金は、主として厚生労働省が中心になり、雇用促進や人材育成のために交付します。申請して要件を満たせば受け取ることが可能であり、難易度が低いことが特長です。ただし、注目の集まる助成金は短期間で受付が終了します。したがって、早めに申請しなければなりません。

一方、補助金は新規事業展開や創業を促進するために交付します。国策支援が目的であり、助成金より広範囲かつ支給額が大きいことがメリットです。しかし、デメリットとして交付に時間がかかります。

特に中小企業やベンチャー企業の経営には、スピードが重要です。腰を据えて補助金を申請する方法もありますが、テレワーク導入には助成金の利用が向いているのではないでしょうか。

厚生労働省によるテレワーク関連の助成金

ここでは厚生労働省が実施している助成金をピックアップします。

厚生労働省による令和3年の「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」では、「機器等導入助成」と「目標達成助成」の2つを設置しています。

2つといっても別々ではありません。導入前から実際に活用する流れにしたがって助成が行われます。テレワークの導入時の設備投資等に関する助成金が「機器等導入助成」、導入の成果による助成金が「目標達成助成」です。

支給対象となるのは、「テレワーク用通信機器の導入・運用」はもちろん「就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更」と「外部専門家によるコンサルティング」、そして労務管理担当者と労働者の研修などの費用が含まれます。

厚生労働省のパンフレットには、機器等導入助成の対象例が挙げられています。たとえば、サーバー機器50万円、セキュリティ機器30万円のほか、サテライトオフィスの利用(30万円)も対象になります。

機器等導入助成、目標達成助成のいずれも上限が定められ、以下の2つのうち低い方が対象になります。

・企業あたり100万円
・テレワークを実施している対象の労働者あたり20万円

まず機器等導入助成は、支給対象経費の30パーセントを支給しますが、機器等導入助成の要件は以下になります。

・テレワーク関連の労働協約もしくは就業規則の整備。
・申請日までに何かひとつ取り組みを行うこと。
・評定期間中に対象者の全員が1回以上あるいは対象者が週平均1回以上のテレワーク実施。

続いて、目標達成助成は支給対象経費の20パーセントが配布されますが、生産性向上の要件を達成すると35パーセントの割増がなされます。要件は以下の通りです。

・評価期間後の離職率が1年前より低下していること。
・評価期間後の1年間の離職率が30パーセント以下であること。
・機器導入助成の評価期間と比べて、1回以上テレワークを実施した労働者数が増加していること(計算式あり)。

生産性向上は別に定められた方法によって、付加価値を労働者数で割って算定します。目標達成助成では離職率を評価するため人事担当者や現場の協力が必要となってきます。

テレワークの助成金、申請の準備と進め方

厚生労働省の助成金の利用にあたって準備することは、実施計画書の作成です。そして管轄労働局の認定が必要になります。

認定後に計画に基づいて6か月の取り組みを行いますが、このうち3か月が評定期間です。この後に、機器等導入助成の申請を行い、要件を満たしていれば助成金を受けられます。

次に機器導入助成の評定期間から1年間、目標達成助成のためのテレワークに取り組みます。その後3か月が目標達成醸成の評定期間です。評定期間の最終日から1か月以内に管轄労働局に申請書を提出し、要件によって助成金を取得できる流れです。

テレワーク導入で利用できる助成金を見逃さず活用を

中小企業、ベンチャー企業の経営者や人事担当者は資金面や人材面で多くの課題を抱えているかと思います。テレワーク導入よりも先決しなければならないミッションがたくさんあるかもしれません。しかし、助成金をきっかけとして、テレワーク導入と業務改革を行ってしまう戦略的な方針も考えられます。

テレワーク導入の助成金を申請するにあたっては、社内の就業規則などを見直したり、要件を満たすために離職率を低下させたり、さまざまな改善が求められます。職場環境をリフレッシュすることにより、魅力的な会社に変える契機として考えてはいかがでしょうか。