実際にあった食品業界応募者の「不合格事例」
一社会人として、業界を問わずNGとされるマナーやルールの他、業界によっては特有のNGがあります。気を付けてさえいれば防げることが多いため、知っていて損はありません。ここではコンサルタントが実際に見てきた食品業界の不合格事例について紹介します。
①証明写真でマイナス印象
履歴書には証明写真を必ず添付しなければならないと思ってはいませんか?しかし、実のところ、食品業界においては証明写真の添付は必須ではありません。むしろ、証明写真の選び方によっては、かえってマイナスイメージを与えてしまう可能性もあるのです。
表情や雰囲気が何となく暗く写ってしまっているものは、不健康そうなイメージを与え、相手企業の採用担当者に「どのような人柄の人なのだろう」「健康上に不安がある人なのだろうか」といった不安を抱かせてしまいます。また、最近では証明写真アプリがあるため、自撮り写真を添付してきた…なんていう実例も。証明写真を添付するのであれば、少なくとも街中にある証明写真機できちんと用意しておきたいものです。
②伝わらなければ意味がない。言葉選びは慎重に!
面接は、面接官とのコミュニケーションをとる機会でもあります。自分のセールスポイントを直接伝えられる場のため、つい熱が帯びることもあるでしょう。込められた熱意は決して無駄ではありません。しかし、ここで注意しておきたいのは、「相手にきちんと伝わる言葉選びを心がける」ということ。
実際の事例でありがちなのが、業界用語や社内用語の多用です。あなたの使っている単語が必ずしも受けようとしている会社の担当者が知っている言葉とは限りません。特に社内用語には気を付け、できるだけ噛み砕き、誰でもわかるような言葉に言い換えるくせをつけておきましょう。
営業職を志望していた人の事例では、前職で扱っていた販売商品がテレビCMでも流れる有名商品であったためにアピールに積極的に取り入れたものの、相手企業がその商品を知らなかったために成果が伝わらず落ちた…というケースがあります。いくら有名な商品であっても、誰もが知っているわけではないことに注意したい事例です。
これらは、書類作成時でも同じこと。自分の常識と相手企業との常識とはイコールではないことを覚えておきましょう。
③転職理由に他責はNG!言い回しに配慮しよう
転職活動時には転職理由が求められます。特に食品業界では、長いスパンで働く社員の多い業界であるため転職理由が明確にあった方がいい傾向にあるのです。「今の会社に特に何も不満はないけれど、御社の業務は今よりはおもしろそうだから転職したいです」といった理由はあまり好かれません。というのも、こうした理由で転職する方は、転職してきてくれたとしても、再びおもしろそうな会社に出会えば辞めてしまうのではないかと危惧されてしまうためです。
そのため、きちんと転職に至った理由を説明できる必要があります。大前提として嘘をつくことはNG。さらに気を付けたいのは、「とはいえ、転職理由がただの他責に終わるのもNG」ということです。
実際に、前職の会社が悪かった、上司が最悪だったと言いたい人もいるでしょう。しかし、それをそのままストレートに伝えてしまうと、面接官に悪印象を与えてしまいます。事実と感情を切り分けることが大切です。先ほどの例でいう事実とは、「上司の関係性を理由に退職した」こと、感情とは「上司に対する恨みつらみ、愚痴」が値します。面接では事実は事実としてきちんと伝えた上で、自分がどう動いたのか、動いた結果どうなったのかを冷静に伝えましょう。さらに、そこで得た学びや今後の自分がどうしていくのかも伝えられるとベターです。
若い頃に転職を繰り返してきたベテランの人の場合、「この頃は若かったんだと思っています」と振り切ってしまうのもひとつのやり方。また、転職回数が多いものの、直近の会社の在籍期間だけは長いという場合は、職務経歴書の頭に直近の会社を持ってきて詳細に書き、残りは箇条書き程度に抑える方法もあります。
「私は悪くない、きっと誰かはわかってくれるはず」という捉え方は避け、改めて事実を整理して見せ方と伝え方を工夫してみましょう。
応募・面接前にチェックしよう
現在、転職はネガティブなことではありません。しかし、食品業界は、昔ながらの一社で長く勤めるスタイルをよしとする価値観がある業界です。書類作成・面接対策時には、このことも頭に入れておきましょう。業界用語や社内用語を使っていないか、保身と他責中心の言葉選びになっていないかを、改めて見つめなおしてみてくださいね。