バイオ・ヘルスケア業界で好まれる人材とは？コンサルタントが見る3つの傾向

好まれて内定が出やすい人の特徴は、業界の特徴によってさまざまです。ある業界では好まれるポイントが、別の業界では重要視されないといったこともあるのです。目指す業界で好まれる人材の傾向を押さえておくことは、内定を得るためにも重要だといえるでしょう。今回は、最近人気のバイオ・ヘルスケア業界で好まれる人の傾向について、採用現場で見られる事例を踏まえてご紹介します。

バイオ・ヘルスケア業界を志す人のなかには、民間企業への就職を考えるまでの間、大学の研究機関で長く研究者として活動してきた人、いわゆる「アカデミア」の人が多くいます。アカデミアの人たちは、知識面の問題がない反面、ビジネス観点で考える力が不足しがちな点が特徴です。ビジネス観点で考えることとは、要するに「マネタイズ」を指します。つまり、自分の研究したい分野を追求する姿勢が是とされてきた大学研究機関と異なり、民間企業では取引先企業や社会に求められていることを叶える努力が必要とされるのです。

企業にとって必要なものは、商品・サービスに直結する開発研究だと考えれば、アカデミアと民間企業で求められる人材の違いがわかりやすいのではないでしょうか。企業の研究機関はお金を生み出さなければ研究を続けられません。そのため、相手が求められるものに研究対象を合わせられる柔軟性は必須といえます。

しかし、実際には自分の興味関心ごとに一直線になりすぎてしまう気質の人が多いのが、バイオ・ヘルスケア業界を志す応募者の特徴です。そのため、柔軟性は内定を得るために非常に大きな要素となります。

バイオ・ヘルスケア業界の特徴は、業界自体が新しいこと、売るものの形がはっきりしていないことです。そのため、仕事の進め方も明確に決まっているわけではありません。自分で考え、工夫して動けるセルフスタータータイプが活躍できる業界だといえるでしょう。

特に、企画や営業職を志す人には、視野の広さや地頭の良さが求められます。ストレートで素直、足で稼ぐといった体育会系の営業タイプより、頭で考えて全体を見ながら動ける論理的な人が向いています。取引先相手も理系タイプであるケースがほとんどであるため、熱意で押し切る営業よりも、良さを論理的に説明し伝えられる営業のほうが好まれるのです。自分で考えて取引先企業に提案できる、コンサル的な役割を担える人が活躍できる業界です。

業種外では「IT」「AI」「データマネジメント」スキル保持者の需要あり

バイオ・ヘルスケア業界への転職・就職は、基本的にバイオ・ヘルスケア領域の知見がある人が内定対象となります。しかし、「IT」や「AI」などはいずれも、取り扱うものが商品として目に見えない点がバイオ・ヘルスケア業界と似ており、その親和性から需要が比較的あるのです。

志望理由として、自分のスキルや知見をどうバイオ・ヘルスケア業界で活かせるのかの想定、どう活かして仕事に取り組みたいのかを具体的に挙げられるように用意しておきましょう。

先ほど、「足で稼ぐ営業タイプ」よりも頭で考えるタイプの方が受けがいいとご紹介しました。この「受けの良さ」は、研究者の特性をいかに理解しているのかといった点につながります。

理系の研究者は、理系特有のこだわりや思考回路を持っています。その特性を理解して営業できる人の方が結果を出しやすいのです。例として、「うちに頼んでもらえれば安くできますよ」といった営業手法は、バイオ・ヘルスケア業界では成約につながりづらいという特徴があります。バイオ・ヘルスケア業界の営業は技術営業とも呼ばれ、その技術を使うメリットについて、ロジカルに組み立てて説明できる力が求められるのです。

ただし、必ずしも自身の経験がバイオ・ヘルスケア領域でなくても構いません。たとえば工学系出身者であっても、理系研究職の人と話した経験がある人であれば、円滑にコミュニケーションがとれるのではないでしょうか。

他業界と比べ、Web面接を取り入れている会社が多いのもバイオ・ヘルスケア業界の特徴です。地方・海外在住者が東京の会社への就職を目指した事例もあります。面接の時点で都内に出てくることが難しい人が挑戦しやすい業界だといえるでしょう。