専門性は武器か、それとも壁か?理系研究職の転職成功の秘訣

公開日:2025/02/07 更新日:2025/03/03
専門性は武器か、それとも壁か?理系研究職の転職成功の秘訣

「自分の専門性は転職市場でどう評価されるのだろう?」

食品、医薬品、化学、医療機器、バイオといった高度な専門知識が求められる分野で研究開発や品質管理、生産管理など理系の専門職として経験を積み重ねてきた方々の中には、転職において「キャリアの専門性が高いことは、転職において有利になるのか、選択肢を狭めてしまう要因になるのか」と悩んだことはありませんか?
その分野の知識、経験を活かした転職であれば専門性の高さが重宝される一方で、経歴と親和性の高い求人がどの程度あるかによっては転職活動を難しく感じさせることもあります。

この記事では、理系専門職の方が転職においてどのように評価されるかを分析し、転職市場での専門性の活かし方や、選択肢を広げるための具体的な方法についても解説します。これまで培ってきたキャリアを自信に変え、転職への第一歩を踏み出してみてください。

専門性が高いことのメリット

1.転職市場における専門性の需要

食品、医薬品、化学、医療機器、バイオなどの業界において理系専門職の経験者は高い需要があります。これらの業界では、業界の専門知識と研究開発や品質管理、生産管理など職種の専門知識がともに不可欠な役割が多く、専門性に求めるレベルが高い分、企業は即戦力となる専門性を持つ人材を求めています。
例えば、食品業界では、新商品開発や品質向上のために食品化学や微生物学の専門知識が必要なことは業界共通だとしても、開発する商品がチョコかキャラメルか焼き菓子なのか、はたまた乾きものか調味料なのかによって素材の特性も異なるため開発技術、生産工程や管理方法の違いからより具体的でピンポイントな専門知識を求められます。

専門性が高いことは、企業側からすると「特定の技術や知識を持っていることで、即戦力として活躍できる可能性」が多いに高まり、入社後の活躍がイメージしやすいことから転職市場で非常に高く評価されます。そうは言いましたが、経歴がチョコの専門だからチョコの選択肢しかない、焼き菓子や乾きものにはいけないのか、ということではありません。業界特有の専門知識を保有しているだけでも評価はされますし、食品やお菓子の括りの中で社内にまだない専門性を持った人材を求めるケースもあり、業界を跨がなければ業界・商材それぞれの専門知識を活かして活躍できるポジション、キャリアの幅を広げるチャンスはあります。

2.競争優位性を持つキャリア形成

転職活動において意識したいのが「絶対評価」と「相対評価」。
多くの求人では採用枠は一枠になります。転職では、自身の経歴を高く評価されることと並んで、他の候補者よりも評価されることも重要になります。

専門性の高さは、転職市場で他の候補者との差別化要素となるので求人の募集要件との親和性が高ければ高いほど選考での優位性は高まります。

専門性が高いことの懸念要素と攻略法

専門性が高いことは同じ業界、分野への転職において優位性が高いですが、一方で転職をする上でいくつかデメリットに感じる点もあります。

1.選べるキャリアの幅が狭くなる
専門性が高く評価される分野であるほど、他分野への転職が難しく感じられることがあります。例えば、食品業界で研究開発を専門としてきた人が、医薬品業界の研究開発職に興味を持った場合、同じ職種であっても業界特有の専門知識やお作法の違いから転職のハードルを高く感じられます。専門性の適用範囲が制限される分、自分が応募できる求人が少ないと感じる場面が出てくるかもしれません。

2. 業界や市場の変化による影響
専門性の高さは、その分野が成長している間は大きな強みですが、業界や市場のニーズが変化したときに他の業界や分野へのキャリアチェンジが難しい場合もあります。専門分野でも他の分野でも、転職を視野に入れている場合は業界や分野問わず応用できるスキル形成が有効になるので意識しておくことをおすすめします。応用スキルについてはここから詳しく説明いたします。

転職活動の攻略方法

1.自分の専門性を他分野にも応用可能な形でアピールする
キャリアの専門性が高く、別の業界や分野への転職を考えている場合、そのスキルや知識をどのように他分野にも応用できるかを企業にイメージしてもらえるかが重要です。例えば、食品業界で培った品質管理の知識は、医薬品や化学品など異業界でも応用できるケースがあります。具体的には、これまで解決してきた課題や成功事例を、他分野でも通用するような汎用的なスキルとして言語化しましょう。また、自分の専門分野で得たデータ分析やプロセス改善のスキルを、企業の課題解決にどう役立てられるかを明確にすることも効果的です。職務経歴書に書く際には、経験業務を箇条書きで書くだけではなく事例としてピックアップして詳細を記載するようにしましょう。

2.ソフトスキルの強化による補完
専門性の高さを補完するためには、ソフトスキルの強化も有効です。転職市場では、専門知識だけでなく、コミュニケーション力やリーダーシップ、チームでの協働力などのソフトスキルが求められることが多くあります。自分のアイデアを分かりやすく伝えるプレゼンテーションスキルや、異なる専門性を持つメンバーと連携する力は、どの分野でも重宝されます。多くの企業では部門を越えて連携を必要とする場面があることから、提案、折衝、連携といった業務の部門を横断して対応した経験があるとプラスに働きます。例えば、プロジェクトマネジメントや機械の新規導入検討、新規技術を提案やデータ管理に関する業務改善経験なども評価される対象です。

3.転職エージェントの活用による幅広い求人探索
専門性が高い場合、自分の知識や経験にマッチする求人を自力で探そうとすると求人の絞りすぎや、逆に広く検索をするとどの程度自分の経歴とマッチしているのかの判断が難しい場合があります。そのときに、転職エージェントを活用することが大きな助けとなります。エージェントに登録すると第三者視点であなたに可能性のある求人を紹介してもらえます。

公開している求人票の募集要件は基本、企業の意向に沿って一定条件が記載されていますが、実際には多少緩和できる条件や募集要件の中でも優先順位がある場合もあります。企業と関係性が出来ているエージェントであればそういった情報も把握しているので、自分では見つけられなかった求人の提案や、企業に推薦してくれるといったこともあります。またエージェントによってはサイトの求人検索機能やお気に入り保存機能にレコメンド機能が備わっていて自分の希望に近い求人をシステム側が見つけてきてくれる、といった使い方も可能です。いずれにせよ、多くの求人票に目を通すことは転職活動においてプラスに働きますので、いくつか自分の経歴にあった業界、分野に強い転職エージェントや検索機能が充実しているエージェントのサイトを活用するのも一つの手です。

 

専門性を活かしたキャリアアップ戦略

1.自身の専門性をさらに深めるキャリア

現在の専門性を最大限生かしてキャリアをさらに追求し、より良い就業環境、条件、業務内容へとキャリアアップを図る選択肢です。スペシャリストとしての地位を確立する場合もこの選択になります。この戦略では、まず自分のキャリアの軸をどの切り口で持ってくるかを決めます。食品の研究開発職と言っても、軸を原料にするのか、それとも開発技術などにするのかでやりたいことも選ぶ求人も変わってくるかと思います。

原料を軸にする場合、専門性の高い求人ほど特定の原材料に関する知識を求められるケースが多いです。職務経歴書にはその材料に関してどの程度までの知識を保有しているのかが分かるように記載しておきましょう。開発技術であれば、例えば乳化なのか発酵なのか、はたまた別の技術であってもその技術にフォーカスしてアピールしましょう。また企業ごとに差はあれども、量産化に向けたプロセスの設計への関わりや商品企画部門との連携など共通している業務があります。軸にしたい部分へのフォーカスに加えて、専門分野ならではの業務経験についてもしっかり触れておくことが重要です。

2.専門分野の共通項を活かす「スキルの横展開」をするキャリア

専門性を活かしつつ、横展開できるスキルを掛け合わせてキャリア形成するパターンです。専門分野の知識は活かすことで今よりも条件は下げずに新しいことへのチャレンジすることもキャリアアップの一つの形です。
このアプローチでは、自分の専門性を「課題解決力」「分析力」「プロジェクトマネジメント能力」など、汎用的なスキルに分解して整理することがポイントです。

例えば、食品メーカーでの品質管理経験は、医薬品や化学メーカーなどの製造プロセス改善や規制対応の業務にも応用できる可能性があります。
スキルの横展開を成功させるには、自分の経験やスキルを他分野でどう活用できるかを職務経歴書や面接で具体的にアピールすることが重要です。そのために参考になるのが、希望するポジションと同じ求人をいくつか見比べてみることです。専門的なスキルの他にも共通している項目があればそこにフォーカスしたスキルの横展開がおすすめです。

転職活動の第一歩:専門性を見極める

自己分析と市場分析の重要性

転職活動のスタート地点として、まず自分の専門性を正確に理解することが必要です。これまでのキャリアの中で培ってきたスキルや経験を棚卸しし、それらがどの業界や職種にマッチするのかを具体的に考えましょう。たとえば、研究開発職での高度な分析スキルやプロジェクトマネジメント経験は、他業界でも大きな価値を持ちます。

次に、市場分析も欠かせません。転職を考える業界や職種の動向をリサーチし、どのようなスキルが求められているかを知ることで転職活動の進め方が変わってきます。自分の希望する分野、職種で求められているスキルの専門スキル、汎用スキルはそれぞれどういう内容かを把握し、転職活動でアピールすべき点がどこかを整理した上で進めることが大切です。

転職活動の成功確率を上げる

求人票というのは、企業の要望を可視化し言語化した内容になります。外の出す情報としてある程度綺麗に整えられている状態ではありますが実際には交渉の余地がある部分や温度感があったりします。そこを求人票の情報だけで汲み取り判断するのは難しく、求人選択の幅を狭めてしまうことも。転職エージェントに登録することで自分では見つからなかった求人を提案してもらえるので選択肢を広げることができます。

また転職エージェントでは過去の選考情報も蓄積されているので選考の対策が打てるというメリットもあります。転職エージェントを上手く活用することができれば、より効率的かつ成功率の高い転職活動が可能です。

専門性の高いキャリアの方が転職活動をするときは、自身の専門性を細かく切り出して把握するとともにどの軸で活動するかが重要です。専門性の使いどころを整理し優位性を有効活用した転職活動を。

RD REALIZE(RDリアライズ)は
ヘルスケア・ライフサイエンス分野の理系転職に特化した専門エージェントです。