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研究職からキャリアアップ:転職と起業、どちらを選ぶべきか?

公開日:2024/12/10 更新日:2024/12/10
研究職からキャリアアップ:転職と起業、どちらを選ぶべきか?

現在、事業会社で研究職に従事する人々にとって、キャリアの見直しはより身近なテーマになっています。技術革新が進む中で研究職が求められる役割やスキルも変化しており、従来の研究職を続けるだけでなく、転職や起業といった新たなキャリア選択が注目されています。転職は異なる企業や業界で経験を積むことでキャリアを広げ、研究の幅やスキルを拡大する道ですが、既存の組織に適応する制約も少なくありません。一方、起業では独自のビジョンに基づいて自由に活動するチャンスが得られますが、その分、リスクも伴います。

ここからは、それぞれの選択肢のメリットとデメリットを比較し、どの道が自身にとって最適かを考えるための材料をご紹介します。

研究者のキャリア選択肢とは?

1.研究職の現状と将来性:雇用状況

市場全体の雇用需要として多くの企業が人材不足の課題を抱えており、研究職においても特に、バイオテクノロジー、医療、AI、データサイエンス、エネルギー技術などの分野では需要が高まっています。一方で、伝統的な製造業や基礎研究の一部では、予算削減や技術の自動化による影響でポジションが減少している場合もあり、雇用機会は分野によって大きく異なります。
少子高齢化や産業構造の変化により、一部の分野で求人が減少しているものの、政府の産学連携やベンチャー支援政策により、研究職の新たな機会が生まれつつあり、またそういった市場感を背景に、これまでよりも契約社員やプロジェクトベースでの雇用が増えてきています。

■バイオテクノロジー・医療分野
バイオテクノロジーや医療分野は、特にパンデミック後の世界で注目が高まり、医薬品開発、ゲノム編集、再生医療などの研究が進展しています。これにより、医療やバイオ分野での研究者の需要は増加しています。製薬会社やバイオテクノロジー企業、病院、大学の研究機関などが主要な雇用先となります。特に、新薬開発や臨床研究に関するポジションは今後も増加する見込みです。

■情報技術(IT)・AI・データサイエンス分野
データサイエンスやAIの台頭により、研究者の役割も変化しています。特にビッグデータを扱う技術やAIを使った研究は多くの分野で急速に拡大しており、IT分野での研究職の求人は急増しています。

■エネルギー・環境技術分野
持続可能なエネルギー技術やカーボンニュートラルを目指す動きが活発化しており、特に再生可能エネルギー、電池技術、クリーンエネルギーの分野での研究職が増加しています。政府や民間企業がこの分野への投資を強化しており、環境問題に取り組む技術者や研究者の需要はますます高まっています。

 

2. 研究職の未来予測

■特定分野での需要拡大
人口増加や高齢化を理由に、医療やバイオテクノロジー分野の研究職は需要拡大が見込まれます。特に、再生医療、遺伝子治療、AIを用いた診断技術など、医療技術の研究は今後も需要が増加するでしょう。

またナノテクノロジーや材料科学の進展により、新素材の開発は産業界全体で重要な役割を、特に半導体、航空宇宙、電気自動車などの分野での応用が拡大しており、これらの分野での研究職も需要が高まる予測です。

■グローバルな研究環境の変化
政府や企業がどの分野に研究資金を集中させるかによって、研究者のキャリアは大きく左右されます。特に技術革新や経済状況によって、資金提供の対象分野が変化することを考慮する必要があります。近年、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する投資が増加しており、このトレンドが今後も続くと予想されるため、持続可能な技術に関連する研究職は有望です。研究が今後さらにグローバル化すると、異なる国や地域の研究者との協力がますます重要になります。研究者は、国際的なプロジェクトに参加する機会が増える一方で、競争も激化する可能性があります。

研究者にとってのキャリアの選択肢:転職 or 起業

転職のメリット

安定した収入・福利厚生の確保
起業には収入の不確実性がある一方、転職であれば起業に比べて収入の安定が見込め、社会保険や福利厚生も利用できるため、生活の安定を維持する上では大きなメリットになります。

既存の組織・資源の利用
起業は全てを自分で構築する必要があるが、転職であれば既存の組織や設備、支援システムがあるため、新しいアイデアを試すにしても起業より手間がかかりません。特に研究職の場合、設備投資が不要であることは重要で、企業で用意されたリソースを活用できる点はメリットとなります。

専門スキルを活かす場の確保
起業ではすぐに売上や事業化が求められるが、転職では長期的にスキルを活用できます。特定分野のスキルを活かしつつ、さらに伸ばしたい人にとって、転職は有利です。起業だと、自分のスキルがビジネスに直結しない場合は事業運営が難しくなることがあり、その点では転職が適しています。

転職のデメリット

業界や企業による制約(例えば、研究分野が限られる)
特定の業界においては、競合との差別化を図るための研究や、規制によって制限される研究分野があるため、自由に研究を展開できるわけではありません。たとえば、食品業界やバイオテクノロジー業界では、規制が厳しいため、企業の許可なく独自のアプローチを試みることはできません。
例: 食品メーカーにおいては、健康効果を強調した商品開発には医薬品との規制の壁があるため、研究内容を一部制限されることがよくあります。

キャリアアップのスピード
起業は成功すれば短期間でキャリアが大きく成長する可能性がありますが、転職では昇進や昇給が徐々に行われるため、キャリアアップのスピードは企業の方針に依存します。特に、成長意欲が強く、リーダーシップを発揮したい人には起業の方が魅力的に映ることも多いです。

新しい環境への適応にストレスがかかる
起業では自分でチームや環境を作れるが、転職では既存の環境に順応する必要があります。転職先の文化や価値観に適応するためには時間がかかる場合があり、人間関係が既に構築されている環境に入ることがストレスに感じられることもあります。

起業のメリット

自由な意思決定と創造性を発揮できる
転職では企業の方針に沿う必要があるが、起業では自身の関心や社会的課題に基づいて研究テーマを選ぶことができます。起業することで、組織や業界の方向性に制限されることなく、自分の理想やビジョンを追求できます。独自の研究や製品開発に注力する自由があるため、満足度が高まりやすいのも大きな魅力です。特に、社会課題の解決や革新的な技術開発を目指す場合、起業はそのための最適な選択肢となり得ます。

自分の研究や技術を商品化するチャンス
転職では企業の意思決定に依存するが、起業では研究の成果を直接サービスや製品化できます。自らの手で成果を社会に広め、顧客の反応を即座に確認できるため、研究の価値を実感しやすく、モチベーションの向上にも繋がります。特に、製品の開発や販売まで一貫して関わることで、研究者としてのスキルに加えてビジネススキルが身につき、自己成長の機会が広がります。

自分でチームを組み、柔軟にプロジェクトを運営できる
起業家として、自分の理念に共感する人材を集めることができ、自由な組織体制でプロジェクトを進められます。特に研究者としての探究心を活かしつつ、個性やアイデアを尊重できる環境を自ら作ることで、効率的かつ高いパフォーマンスを発揮できる可能性が高まります。

起業のデメリット

不安定な収入と高いリスク
起業は収入が不安定で、失敗のリスクも大きい点が挙げられます。研究者としての技術や知識はあっても、必ずしも事業として成功する保証はありません。万が一事業が失敗した場合の経済的リスクや生活の安定性の欠如がデメリットとなり、リスクをどう許容するかが課題です。また、起業に伴う時間的・精神的負担も大きく、プレッシャーや責任が重くのしかかることが多いです。

資金調達や収益化のプレッシャー
起業では研究や製品開発と並行して資金調達や収益化を考える必要があります。起業には初期投資や資金調達が不可欠で、研究の成果を収益化しなければ経営が成り立たないというプレッシャーが伴います。特に研究分野であれば、収益までの道のりが長くなることもあり、資金面でのリスク管理が求められます。また、収益を追求するあまり、研究の純粋性が損なわれる懸念もあるため、バランスが重要です。

ビジネス面のスキルが求められる
起業ではマーケティングや営業、人材管理など幅広いビジネススキルが必要となります。起業すると、研究以外にも資金管理やチーム運営、マーケティングなど、多岐にわたる業務に対応しなければなりません。これらのスキルが未習得の場合、研究の進捗が阻害されることもあるため、専門分野以外にも多くの学びや努力が必要となります。

 

転職 or 起業:どちらがあなたに向いているか?

転職と起業の選択肢には、それぞれ異なるキャリアパスとリスクのレベルが伴います。この項目では、「自分が目指す最終的なキャリア像」と「どれだけのリスクを許容できるか」を基準に、転職と起業がどう異なるかを説明します。

目指すキャリアパスとリスク許容度の違い

転職:キャリアの安定性を重視する場合、転職先で求められる成果を積み重ねることで、将来的に専門知識を活かしたプロジェクトリーダーやマネジメント職など、安定したポジションを目指しやすくなります。転職では既存の組織でキャリアを積むため、リスクは比較的低めです。

起業:自由にキャリアをデザインしたい場合、起業は最適な選択肢です。ただし、成功する保証はなく、高いリスク許容度が求められます。多くの研究者が感じる起業のハードルとして、資金調達、ビジネススキルの獲得、収益化の難しさなどがあります。新しい技術を実用化する場合でも、市場への導入や競争力の維持といった難題が待ち受けているため、ビジネスと研究を両立させる必要があります。自ら事業を展開し、独自の道を切り開きたいと感じている場合は、起業を通じて、自身のビジョンに基づいたキャリアパスを歩むことができます。

研究職から転職した場合のライフスタイルの変化

転職:企業によって、仕事のプロジェクト進行ペースや評価基準、チーム構成が異なるため、より多様な仕事のリズムや頻度に対応する必要が生じます。また、転職によって勤務地や勤務時間も異なる可能性があるため、プライベートの過ごし方や人間関係も変化するでしょう。転職先がグローバル企業であれば、頻繁な出張や外部とのやり取りが増える可能性もあります。

起業:一方、起業では自分で全てのスケジュールを管理する自由があるため、起業家特有の不規則な生活リズムになることも多いです。プライベートと仕事の境界が薄くなるため、ライフスタイルは一変します。

副業の選択肢:研究職と両立できる働き方

転職や起業に動き出す前に、新たなキャリアの可能性を模索する一環として、副業を検討するという選択肢もあります。副業は、収入の多様化やスキルの向上に加え、異なる業界やネットワークとの接点を持つことができるため、キャリアの幅を広げる大きなチャンスとなります。

リスクの分散
副業を持つことで、主な収入源に依存するリスクを軽減できます。特に、転職を検討している場合、思い切って新しい環境に飛び込むのは不安が伴いますが、副業から得られる収入があれば、経済的なプレッシャーを和らげながら次のステップを準備できます。このように、安定した収入を確保しつつ、新しいスキルや経験を積むことができるため、転職後の不安を軽減する助けとなります。

市場のテスト
起業を考えている場合、副業は自分のアイデアやサービスを小規模で試すための理想的な場です。たとえば、自分が開発した製品やサービスを副業として提供することで、実際の市場での反応を確認できます。この過程で得られるフィードバックは、起業を目指す際に非常に価値のある情報となります。市場のニーズや顧客の声を直接聞くことで、製品やサービスを改善し、成功の可能性を高めることができるでしょう。

キャリアを長期的に考える:未来の展望

転職と起業、どちらが長期的なキャリアゴールに適しているか

転職を通じて異業種や異なる組織でキャリアを積む場合、キャリアの安定性と成長性が見込めます。特に研究職の場合、企業のマネジメント層やリーダー職としてキャリアアップし、広範囲なプロジェクトを手掛けられる可能性があります。また、安定した収入基盤を保ちながらスキルを磨くことで、専門性を深めるキャリアパスが確立しやすい点が利点です。

起業を選択する場合は独自のビジョンや価値観に基づいた事業展開が可能なため、他社にない革新的なプロジェクトを長期的に主導できるメリットがあります。特に、自身のアイデアを市場に広めたい、あるいは社会貢献に重きを置きたい人にとっては、起業がより適しています。しかし、起業におけるリスクや成果の不確実性を受け入れる必要があるため、柔軟性や自己管理能力も求められます。

それぞれの選択肢で必要なスキルや準備

転職と起業それぞれで必要なスキルセットや準備すべきことは異なります。

転職では新たな業界や職場に適応するため、まずコミュニケーションスキルやチームワークが重視されます。また、異なる企業文化や業務プロセスに慣れるための柔軟性が重要です。専門分野の知識や技術を活かしつつも、会社のビジョンや方針に合わせて研究内容を調整するスキルも求められます。事前に企業や業界のトレンド、転職先の市場ニーズを調査しておくと良いでしょう。

一方、起業ではビジネスの基礎知識(財務、マーケティング、営業)や資金調達能力が不可欠です。また、独自の製品やサービスを生み出すためのイノベーション能力や戦略的思考も重要です。準備段階で、事業計画の策定や市場調査、競合分析などを行い、リスクを最小限に抑えるための実務的な準備を進めることが勧められます。さらに、ネットワーキングや資金確保を支援するためのコミュニティにも積極的に参加すると良いです。

転職や起業は新たなキャリアの可能性を広げる重要な選択肢です。転職は、新しいネットワークやチームでの経験を得るチャンスを提供しつつ、業界や企業の制約も伴います。一方で、起業は独自のビジョンを追求できる自由度がありますが、その分リスクや準備も求められます。

どちらのキャリアを選ぶにせよ、今後のキャリアはあなた自身の選択と努力によって築かれていきます。転職、起業のどちらがあなたに最適か、ぜひじっくり考え、次のステップを踏み出してみてください。

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